私たちが向かっていく未来を予測して発信する

世界で最も著名なトレンド予測のパイオニアであり、カラーリストでもあるリドヴィッジ・エデルコート。
1980年、ファッション、カラー、テキスタイル、ライフスタイル、建築など世界が必要とするクリエイティブなトレンド情報を予測・提供する機関トレンドユニオンを創設。以来その情報や視点は常に世界で最も早く的確に未来のコアを捉えており、その情報を頼りにする業界はファッションからフード、インテリアからテクノロジーまで幅広い。「あらかじめの知識なしでのクリエイションはありえない。そしてデザインのないプロダクトは存在しえない」というリーの言葉通り、彼女の発表するコンセプトやカラー、素材の情報は２年後ときにもっと後になり形をなしファッションやデザインとして現れる。というのは、彼女の打ち出すトレンド予測はライフスタイルから経済、消費者の発するシグナルの分析、アートまで、幅広い分野の検証をベースにしていること。
そしてなによりも、人間本来のもつクリエイティビティーを信じ、その"自然の欲求"が向かう先を繊細かつ大胆に捉え発表しているからと言える。的確な未来予測をまとめたトレンドブックは論理的かつインスピレーションをかき立てられる最高のツールであり、それは人の手で作られた質感溢れるサンプルと美しい写真、的確な文章で構成されている。
よく聞かれること。「どうやってトレンドを感じて分析しているの？」その答えは至ってシンプルでヒューマン。
世界中を旅し、ありとあらゆるものにふれ、買い物をし、心にのこる言葉を書きとめ、気になるオブジェを手にとり、新しい開発にも興味をもち、社会の変化がどのように思考、カラー、素材、製品、サービスに影響を与えるかを感じ取る。
「トレンド予測は単なる情報の受け渡しではない。トレンドという風の流れを知らせることで、それを消費者、クリエイターたちが自分で感じ、自分で使う方法を指し示していくことこそが未来のクリエイションに繋がる大切な要素だ」というリーのスタンスにも見られるように、リーとそのチームは未来のかけらをクライアントが使いやすい形へと落とし込むのだが、それはいわゆるこのシーズンはこれが流行るといったようなダイレクトな答えではなく、デザイナーにとってはクリエイティブ細胞がワクワクするような、経営者にとっては遠い未来に向かう地図を手にするような希望を感じるものであるため、世界のトップ企業やクリエイターからの信頼も厚い。またリーは出版者でもあり、人類学者でもあり、教育者でもあり、キュレーターでもある。日本においては2010年に21_21 DESIGN SIGHTにおいてポスト・フォッシル展を開催。世界中各地で継続的に今考えるべきデザインを見せるエキジビションをキュレーションし続けている。教育の現場での活動も有名で、オランダのデザインアカデミーアイントホーヘンを1999年から10年間の間に世界で最も著名なデザイン学校へと育て上げ、現在はニューヨークのパーソンズスクールにてテキスタイルとテクノロジーをハイブリッドする学科の学科長をつとめ、ファッションの未来を担う若い才能を育てている。